『第16回大分県ビジネスプラングランプリ』表彰式について
大分大学先端医学研究所でのお仕事について
今年も早くも3月に入りました。やはりこの時期は日が経つのが早く感じられます。
気温も暖かい日が多く、春の訪れも早そうです。
さて、そんな中、3月1日に『第16回大分県ビジネスプラングランプリ』の表彰式が開催され、株式会社大分大学先端医学研究所の一員として表彰式に参加してきました。
ビジネスプラングランプリ最優秀賞をいただきました
この『株式会社大分大学先端医学研究所』は、2017年10月に大分大学発の創薬ベンチャーとして設立されました。
私は2018年2月から週2日程度のペースではありますが、スタッフとしてお手伝いさせていただいております。
主な役割としては、毎月開催される取締役会の資料の準備と議事録作成、補助金関係の支援等を担当しています。
その中でこの『大分県ビジネスプラングランプリ』の申請書類の作成についてもお手伝いさせていただきました。
そのビジネスプランとは、「新しいペプチド模倣技術を利用した化合物合成ライブラリー構築事業」というものです。
このビジネスプランが一次審査の書面審査と二次審査のプレゼンテーション審査を経て、最優秀賞を受賞することができました。
ビジネスプランの概要
このビジネスプランとは、創薬ベンチャーとして当社が独自に開発した「ペプチド模倣技術」を活用して、1万化合物の「化合物ライブラリー」を構築し、大学等の研究機関との共同研究や製薬企業へのライセンス提供を目指すものです。
近年の医薬品開発は、昨年ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑教授の研究を基にした「オプジーボ」に代表されるような「抗体医薬」等の「バイオ医薬品」の研究が盛んとなっています。
それ以前は、天然に存在する化合物をベースとした「低分子医薬品」の開発が中心でした。
この「低分子医薬品」の研究開発の際にも候補化合物を集めた「化合物ライブラリー」が活用されていたのですが、医薬品開発の研究テーマとなっていた高血圧や高脂血症等の患者数の多い疾患については、ある程度新薬開発が一巡した状況にあります。
これまでの医薬品開発である「低分子医薬品」や最近研究が盛んになっている「バイオ医薬品」には、それぞれ問題点も伴います。
「低分子医薬品」はその名の通り分子量の小さい化合物であるため、細胞内に浸透してその作用を発揮しますが、病気の発生に関係のないところにまで作用が及ぶため、本来の治療では意図していない「副作用」を伴う可能性があります。
「バイオ医薬品」の場合は、分子量が大きな高分子であるため細胞内に浸透することができず、病気の原因となっている細胞内で発生している「タンパク質間相互作用」に働きかけることができないこと、製造コストが高く販売価格(薬価)も高くなることが挙げられます。
これに対して、当社が開発した「ペプチド模倣技術」を利用して合成する化合物は、病気の発生に関連しているタンパク質間相互作用の発生しているタンパク質のペプチドを模倣した低分子化合物で、細胞内に浸透して病気の発生に関わっているタンパク質に選択的に働きかけることができるというものです。
また低分子であることから「飲み薬」の形をとることができ、薬価も抑えられる可能性があります。
研究開発の現状と今後
現在は、「1万化合物」の化合物ライブラリーの構築を進めている段階です。
また、医薬品開発の研究テーマとしては、「狂犬病ワクチン」や「RSウィルス治療薬」等の感染症治療薬候補となる化合物の合成・研究が進んでいます。
これらの研究が順調に進んでいけば、これまで治療薬のなかった疾患に対して治療薬を提供することができ、医療にとって大きなインパクトとなることが予想されます。
このように、研究開発に関する面では大きな可能性を秘めている当社ではありますが、まだ設立して1期を経ただけの生まれたてのベンチャー企業で、内部的にはまだまだ多くの課題が残っています。
それらの課題解決のお手伝いができるよう頑張っていきたいと考えています。